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福井の画廊で展覧会「水槽の中の街」 日常の風景、水中に見立て26点

木版画作品「黄色い窓の家」(手前)と岸下さん

木版画作品「黄色い窓の家」(手前)と岸下さん

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 福井市の「E&Cギャラリー」(福井市問屋町3、TEL 0776-27-0207)で現在、企画展「『水槽の中の街』岸下めぐみ展」が行われている。

展示作品より、アクリル画「夜明けと作業小屋」

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 岸下さんは1989年同市生まれ。福井大(文京3)大学院で芸術教育を専攻した後、版画を中心に創作活動を続けている。個展は2013年以来2回目で、かねてストックしていた題材を基に約半年掛け制作を進めた。

 福井の風景を水槽に見立て、魚を泳がせたり水草を配置したりするなど「日常の中の非日常」を感じさせる作品に仕上げた。岸下さんは「普段目にする空の色が、記憶の中にある川や海などの色とリンクしたのがきっかけ。車での通勤中も水の中を走っているような感覚になることがよくある」と話す。

 木やビニールシートなどを使った版画20点とアクリル画6点を展示する。会場正面奥にある「調圧水槽」は、横29.8センチ・縦18.9センチの木版画3点を並べた作品で、坂井市内で見掛けた雲の形をタチウオに見立てた。作品を収めた額縁も「水槽」の雰囲気の演出に一役買っている。

 同大での卒業制作を機に版画制作にのめり込んだという岸下さん。「インクの盛り方やバレンのこすり方など、刷る時のさじ加減で仕上がりが変わるのが版画の楽しみ。インクの色使いで時間の経過を表現できるという、版画ならではの反復性も私に合っている」と話す。

 会場全体が一つの小さな街となるような展示プランを立て、版画とは異なる趣のアクリル画も展示した。「色むらによる味わいを出せればと考え、筆で描く表現を取り入れた。色の重ね方で透明感のあるような仕上がりになったことや、過去の作品ではあまり使わなかった色を取り入れたことなど意外な発見もあった」と振り返る。

 営業時間は12時~18時(金曜は21時まで)。入場無料。火曜・水曜定休。1月28日まで。

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