福井市内にある「ワトム農園」(福井市二の宮3)が7月10日、自家栽培トマトを使った「アメイジングガスパチョ」の販売を始めた。
ガスパチョは、トマトやキュウリ、ニンニクなどの野菜とパンをすりつぶし、オリーブオイルや酢、スパイスで味付けしたスペイン料理の冷製スープ。同農園が2013年「六次産業化法」に基づく事業計画の認定を受けたのを機に、福井県内在住のフードコーディネーターやデザイナーをアドバイザーに迎え開発を始めた。
きっかけは、同農園代表の佐々木済さんがレストランでガスパチョを口にしたことだった。「まず名前の響きに引かれた。ネットで調べたところ、トマトを使ったスペインの冷製スープと分かった。トマトをメーンに栽培する農園なので、6次産業化の事業にもぴったりだと考えた」
しかし、佐々木さんが口にしたのは伝統的なレシピのものではなかった。市場調査を兼ね、ある店で購入したガスパチョは予想を覆すものだった。「口当たりが全く違った。調べてみると、初めて出合ったガスパチョにはパンが使われていなかった」。伝統的なレシピでは日本人の口に合わないと、トマト一本で勝負することに決めた。
同農園は、同市白方町のビニールハウスでおよそ30種のカラートマトを栽培する。黄、緑、ピンク、紫。プラムを思わせるまだら模様もある。佐々木さんと企画担当の品川勉さんは、それらの中から赤、黄、緑の3色を選んだ。アドバイザーの勧めで、赤=チリ風味、黄=レモン風味、緑=バジル風味とすることが決まった。
完成に近づいたころ、「普通すぎてつまらない」と佐々木さん・品川さん双方の意見が一致した。そこで、ピンクと茶のトマトを追加。ピンク=ピーチ風味、茶=チョコ風味に決め開発を続行。今年3月、「アメイジング(=びっくりするような)ガスパチョ」5色セットが出そろった。
同商品開発を機に、同市二の宮の事務所ビル1階を加工所にした。「これまでもドライトマトなど乾燥野菜を作っていたが、冷蔵冷凍機器などを導入して食品加工の環境を整えた」と品川さん。朝3時には2人で加工所に入り、畑に向かうまでの4時間ほどをガスパチョ製造に費やす。
創業以来、他の農家が手掛けない野菜や果物を作る方針を貫く。「食べ物から生まれる驚きと喜びを、家族の会話のきっかけに」が2人の合言葉。「流行に左右されずじっくり育てたい商品。福井の方にとって自慢の種となる存在となれば」と口をそろえる。
カラートマトの畑はおよそ1アールの広さ。トマトの収量に限界があるため、今シーズンは200セットで販売終了の見込みという。
1袋140グラム。5袋1セットで4,980円。同社ホームページで購入できる。