福井でデザインスクール「XSCHOOL」発表会 イベント機に事業化の動きも

福井の民話を題材にした弁当のプランでは、銀行員のメンバーによる収支計画の発表も

福井の民話を題材にした弁当のプランでは、銀行員のメンバーによる収支計画の発表も

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 福井新聞社「風の森ホール」(福井市大和田2)で3月11日、プレゼンテーションイベント「XSCHOOL 発表会/福井 -福井からはじまる、小さなデザインの教室より-」が行われた。

トークセッションのMCは、同スクールプログラムディレクターの内田友紀さん(福井市出身)が務めた

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 「XSCHOOL」は昨年11月、福井市が主宰する「未来につなぐ ふくい魅える化プロジェクト:make.f」の一環として開講したデザインスクール。「福井でつくろう、福井をつくろう」をテーマに、カレンダー企画製造「にしばた」(灯明寺3)、弁当製造販売「番匠本店」(高木中央3)、セラミックス造形品製造「廣部硬器」(深谷町)の3社がパートナー企業として参画した。

 スクールには「ジャンルを横断し新たな価値を生み出す『広義で捉えたデザインの力』」で課題解決を目指すデザイナー、建築家、金融関係者、編集者など24人が県内外から受講。3人1組でつくるチームが、同市内で行われたワークショップなどでパートナー企業との打ち合わせを重ね、企画書作成や試作品開発などを進めた。

 13時30分に始まったイベントには受講メンバーのほか、デザイン事務所「UMA / design farm」(大阪市中央区)の原田祐馬代表など同スクール講師3人、ゲストとしてIT企業「ディヴィデュアル」(東京都港区)共同創業者のドミニク・チェンさん、京都大学総合博物館の塩瀬隆之准教授の2人が登壇した。

 福井駅のプラットホームに食堂を作る計画「あさひるばんじょう」を考案したチームは「弁当を一口サイズにして食べる機会を増やす」「ホームは福井の入り口。人と街がつながる場になれば」などと発表し、チェンさんが「急いでいるという前提の場所にスローなカルチャーを持ち込むアイデアが面白い。滞在時間が延びるような仕掛けにも挑戦してほしい」とアドバイスした。

 廣部硬器が手掛ける蓄光磁器を生かした、子ども向けのお守り「TSUGUMI」を提案したチームもあった。「福井の県鳥であるツグミをモチーフに、渡り鳥という生態と『家に無事に帰ってほしい』という意味を重ねた」という説明に、塩瀬さんが「商品化に当たってはランドセルに付けた時など激しい振動に耐えうる設計が必要。『子ども見守り隊』など地域との連携も視野に入れては」などと応えた。

 後半には講師やゲストによるトークセッションもあり、約4カ月にわたった同スクールを総括。講師の3人は「8つのプロジェクトのプランを応援してくれる人をいかに集めるかが今後の鍵」(原田さん)、「福井に通って培った当事者意識をこれからも大切に」(萩原俊矢さん)、「広義のデザインの実践者としての活動が楽しみ」(高橋孝治さん)などと期待を寄せた。

 同スクール広報担当者によると、同イベントを機に事業化に向け具体的に動き出したチームもあるという。廣部硬器の廣部すぐ里さんは「短期間で情報収集、分析、企画、試作、発表準備などを進めてくださり頭が下がる思い。うまくいかずに落ち込んだり、活路を見いだして元気が湧いたりとさまざまなことがあったと思うが、パートナー企業として関わることができ幸せだった。引き続き一緒に良い道を探っていければ」と振り返る。

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