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福井が舞台の小説「空への助走」話題に 足羽河原の桜、三国港など実在の場面も

同書の表紙。漫画家・三月薫さんが装画を手掛けた

同書の表紙。漫画家・三月薫さんが装画を手掛けた

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 集英社(東京都千代田区)が10月5日に販売を始めた壁井ユカコさんの小説「空への助走 福蜂工業高校運動部」が現在、福井で話題になっている。

作品の一場面として描かれる、足羽河原の桜並木

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 昨年から今年にかけ壁井さんが同社文芸誌「小説すばる」に発表した短編3本と、書き下ろしをまとめた同書。福井にあるという設定の「福蜂工業高校」「明日岡高校」「尋慶女子高校」などを舞台に、バレーボール、陸上競技、柔道、テニスなどの部活動に打ち込む高校生の群像劇を描く。

 小説は、架空の「福井県立七符清陰高校」が舞台の「2.43 清陰高校男子バレー部」シリーズのスピンオフとして書かれた。担当編集者によると「地方都市を舞台に小説を書くに当たり、(壁井さんの)旦那さんの出身地で身近な存在だった福井が浮かんだというのが『2.43』のきっかけ。日常生活でも福井弁がよく出るそうで、言葉の温かみに引かれたとも聞いた」という。

 執筆に当たり高志高(福井市御幸2)や北陸高(文京1)などへ取材を行った。学校は架空だが、JR福井駅前の恐竜モニュメント、足羽(あすわ)河原の桜並木、えちぜん鉄道、三国港など実在の場面が随所に登場する。せりふにも「ひっでもんに(=すごく)」「ほやほや(=そうだよね)」「ほやかって(=だって)」「ほしたら(=そうしたら)」などの福井弁があふれる。

 鯖江市にある書店「SuperKaBoS 鯖江店」(鯖江市神中町2)では「2.43」シリーズと合わせ、手書きの帯や作品の一節を引用したPOPなどで売り場展開を行う。「壁井推し」を自認する店員の峯森和代さんは「先日、壁井さんが来店された時にサイン本の補充もできた。購買層は高校生や40代の女性が多い印象だが、幅広い層に向け長く売っていきたい一冊」と意気込みを見せる。

 福井の本好きも同書に注目する。福井市在住で、読書愛好者グループ「Have a nice book!」代表の佐藤実紀代さんは「高校生の青春の日々をのぞき見できる『キュン死』必至の小説。部活に恋愛に遊びにと、全力で向き合う姿を親世代の方にも読んでほしい」と興奮した様子。坂井市内にある高校の図書館担当職員は「『2.43』は生徒からの支持が高いシリーズの一つ。『空への助走』も近日中に入庫予定で話題になりそう」と話す。

 壁井さんは同書の特設サイトに「今、毎日部活に熱中している人。かつて部活にささげた青春時代を通ってきた人。部活、もっと何か思い切り打ち込んでおけばよかったな…という人。今これから、何の部活に入ろうかと、夢と不安の両方が胸に膨らんでいる人。たくさんの方の心に何かが届けばうれしい」とメッセージを寄せている。

 仕様は四六判312ページ。価格は1,728円。

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