ウェブ制作会社「mgn」(東京都渋谷区)と福井県内企業がコラボした「めがね米」が好調な売れ行きを見せている。
「めがねフェス」の出展ブースで撮った写真もSNS上での拡散を後押しした
生産者、精米業者、販売業者など、商品に関わる人全てが眼鏡を掛けているという同商品。福井発祥のコメ「コシヒカリ」の特別栽培米を使い、コメ生産地・鯖江市と同市の地場産業である眼鏡を組み合わせた。開発を始めたのは今年初めで、生産農家「YK工業」(鯖江市川去町)、米穀卸販売「福井精米」(福井市森行町)などと共同で約4カ月かけて商品化にこぎ着けた。
「手土産として買い求めやすいように」と1袋は300グラム入り。パッケージは3種類で、眼鏡の代表的な形である「ウェリントン」「ボストン」「ラウンド」をあしらった。「めがね米3兄弟」として「ITを駆使しコメ業界のオン・オフを自在に乗りこなす長男」「マイペースでこだわりのコメを求め続ける次男」「アートなどの巨匠も愛用した丸い形でコメにインスパイアを与える末っ子」などキャラクター設定も行った。
5月に鯖江市内で行われた「めがねフェス 2016」で販売を始めたところ、ツイッター上で「福井県への興味が一気に上がった」「面白すぎる」「眼鏡フェチだから、めがね米しか食べない」など話題が拡散し、発端となったツイートは約2万4000件のリツイートを記録。在京キー局の番組で取り上げられたことなども奏功し、7月中旬には初回ロット1500袋のネット販売分が完売した。
同社の大串肇社長は大の眼鏡好き。仲間内では「眼鏡さん」と親しまれ、社名も眼鏡にあやかって付けたという。「クライアントつながりで福井精米さんを紹介してもらい、鯖江産のコメという背景を基に商品のアイデアを共有した。ウェブ制作会社がコメを売るとは思っていなかったが、試食したときのおいしさが忘れられず、自分自身驚きながら楽しんでいる」と明かす。
9月中旬からは、今年の新米を使った2次出荷分の販売が始まった。販売店の一つ、酒販店「久保田酒店」(鯖江市旭町1)の久保田桐子さんは「店が鯖江駅近くにあり、出張の土産にする方や、旅行に来た方などを中心に売れている。購入後しばらくして『中身だけ5キロ分送ってほしい』という注文を受けたこともあり、鯖江の眼鏡が福井米のPRにもつながっていると思うとうれしい」と話す。
オープン価格。ホームページでも販売している。