福井発のプログラミング学習パソコン「IchigoJam(イチゴジャム)」シリーズが好調な売れ行きを見せている。
8月28日、福野社長がブログで発表した鬼ごっこゲーム「IchigoJam版『ケイドロ』」
福井県内のIT企業有志でつくる団体「プログラミング クラブ ネットワーク」(以下「PCN」)が販売する同シリーズは2014年、PCNに参画する「jig.jp」(鯖江市新横江2)の福野泰介社長が開発した。
当時の大きさは、横=6.2センチ・縦=4.5センチ(突起部除く)。基板上にマイコンやLEDなどの部品を配置し、ビデオ端子付きのテレビ、キーボード、電源をつなぐだけで使える設計とした。「子どもが危険なウェブサイトの閲覧などをしないように」インターネット接続機能を省き、プログラミング言語「BASIC」の学習に特化したのが特徴。
2015年には仕様を一部変更した2代目「IchigoJam U」を、今年7月20日には3代目「IchigoJam T」の販売を始めた。広報担当の橋本侑果さんは「初代からの累計販売台数は約1万4000台。国内はもとより、モンゴルやベトナムなど海外の教育現場でも使われており、販売当初には想像できなかった広がりを見せている」と話す。「子ども向け」をうたうが、かつてプログラミングに熱中した「BASIC世代」の購入も多いという。
「IchigoJam T」開発に当たっては、PCNが県内で行うプログラミング教室での声も生かした。「教室ではキット状態の『IchigoJam』をはんだ付けするプログラムもある。より組み立てやすくなるよう部品構成を簡素にするなど見直しを行った」。キーボード着脱にも気を配り、接続端子を従来のPS/2タイプからUSBタイプに変更。PS/2対応のUSBキーボードを使えるようにした。
外部機器との接続を想定した設計を生かし、都内で行われた物作り見本市では、同シリーズとメカ機構を組み合わせた「魯山人(ろさんじん)の納豆製造機」を出展した。教室でも、PCNが販売するプログラミングロボット「paprika」を同シリーズで動かすなど、ゲームだけではないプログラミングの可能性を伝える。
「IchigoJam T」販売開始に合わせ、同商品の基盤製造に用いる「ガーバーデータ」も公開した。同データは「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」で配布し、一定条件の下でだれでも自由に使える。橋本さんは「基盤の色が違う独自の『IchigoJam』を作ることなども可能。さまざまな個人や企業が参画することで『子どもプログラミング』の輪がさらに広がれば」と期待を寄せる。
価格は、完成品=2,160円、ハーフキット=1,890円。