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福井のあんかけスパ店「ナポリ」ファン拡大 「名古屋めし」の定着に一役

ミニサラダも付いた「ミラカン Lサイズ」(890円)

ミニサラダも付いた「ミラカン Lサイズ」(890円)

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 福井市のあんかけスパ専門店「ナポリ」(福井市和田東2、TEL 0776-27-7227)がオープンして4年が過ぎ、ファンを増やしている。

「店のスタッフとあんかけスパ談義ができ、毎日がとにかく楽しい」と渡辺さん

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 あんかけスパは、太めのスパゲティに野菜やハンバーグなどのトッピングをのせ、とろみのあるソースを絡めて食べる「名古屋めし」の一つ。店主の渡辺哲弥さんによると、昭和30年代、イタリアの家庭料理をヒントに考案された地元グルメという。

 店舗面積は約20坪。席数は、カウンター=5席、テーブル=20席。広告代理店勤務から脱サラ開業した渡辺さんは、「飲食店なら何でもよかったわけでなく、あんかけスパの店にすると決めていた。名古屋から福井に戻って就職し、学生時代にバイト先で口にしたあんかけスパが妙に恋しくなったのがきっかけ」と振り返る。

 メニューは、ウインナーソーセージ、ベーコン、タマネギ、ピーマンなどをトッピングした「ミラカン」(800円)が人気ナンバーワン。自家製ハンバーグを使った「ハンバーグ」(800円)、豚肉入り黄金焼きを乗せた「ピカタ」(730円)、アツアツの鉄板に乗せて出す「鉄板カントリー」(800円)もお薦めという。

 味わいの鍵は、数種類の野菜と牛ミンチ肉を12時間以上煮込んで作るスパイシーなソース。太さ2.2ミリの麺は、もっちりした食感を引き出すため、ゆで上げ後1日寝かせる「名古屋流」を貫く。「お客さんには、学生時代を名古屋で過ごした人や、転勤で福井にやってきた人も多い。『よくぞ福井でお店を開いてくれた』と言ってもらえることも」と笑みをこぼす。

 約20年間のサラリーマン時代をあんかけスパ研究に費やした。「バイト先での記憶をたどって、最初は趣味として作り始めた。ネットに出ているレシピを再現したり、市販のソースを取り寄せて自分なりに分析してみたりした。ソースのルーを作るために家庭用オーブンも買ってしまった」。周囲には趣味を漏らさず、週末のひそかな楽しみとして本場での食べ歩きを続けた。

 転職を考えたのは10年ほど前。「広告業界が変革期を迎え、自分も身の振り方を考える時期に来ていた。あんかけスパ店も選択肢にはあったが、趣味と仕事では求められるレベルがはるかに違い、全てにおいて力不足だった」。弟子入りを受け入れてくれた名古屋市内の店に休日のたびに通い詰め、味の精度を高めた。会社を辞めるときも、周囲に開業のプランを話すことなくコツコツと準備を重ねた。

 オープン前にはピラフやドリアなどのメニューも検討したというが、「1人ではキッチンを切り盛りできないと腹をくくった」とあんかけスパ一本に絞り、トッピングも開店時の15種類から20種類まで増やした。「福井の人にとってまだまだ未知の食べ物で、まずは一度食べていただければ。3回食べれば病みつきになるはず」と、あんかけスパへの愛をにじませる。

 開店時間は、10時30分~15時、17時30分~21時。日曜定休。

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