大野市の「武家屋敷旧田村家」(大野市城町、TEL 0779-65-6212)で8月5日から、「前田吉彦展-展覧会が結う縁-『ナヅム中空作法』」が開かれる。
前田さんは1972(昭和47)年同市生まれ。大野高卒業後、京都市立芸大で彫刻を専攻し、独ベルリン芸大で研究生として学んだ経歴を持つ。現在は京都を拠点に活動し東京や京都で個展を開いているが、同市での発表は初めてという。
「彫刻家十年戦士の泥(なず)ム仕事をカイコし その作法の糸を紡ぐ」というテーマの下、これまでに制作した立体作品やパフォーマンスの記録写真など計26点の展示を予定する。立体作品の素材は、毛糸、木材、パスタ、羊毛、パン、紙、柿の種など多岐にわたる。
同展では、前田さんの同級生やアート・マスコミ関係者など約60人で構成する「ナヅムの会」が運営に当たる。同市在住で発起人の亀谷聡美さんは「3年ほど前、テレビで偶然前田さんの個展を知ったのがきっかけ。当時全く面識のない作家さんだったが、大野出身というプロフィルが心に残り、いつか地元で展覧会ができればと思い描いていた」と振り返る。
会場は旧大野藩家老・田村又左衛門家の屋敷跡で、4月25日に同市の観光スポットとしてオープンした。亀谷さんは「寺院、ホール、空き家など会場候補がある中で、前田さんが一目で気に入った場所だった」と話し、「デジカメやスマホを持たずに下見に来られたのが印象的だった。平面図を渡したわけでもないのに詳細な展示プランが届き、記憶力の良さに驚いた」と舌を巻く。
関連イベントとして8日14時から、多目的ホール「平成大野屋 平蔵」(元町1、TEL 0779-69-9200)でアーティストトークを行う。9日13時からは「『ラモーンズ』:ミコ式版画作法」と題したTシャツ版画制作ワークショップも予定する。ワークショップは大人が対象で、参加料は1,000円。定員20人。事前予約が必要。
同市では昨年秋、市内の個人や公共施設などが所有する美術作品123点を展示した「市民所有の絵画展」が開かれた。亀谷さんは「大野ではかつて、市民がお金を持ち寄り気鋭の作家を支える『小コレクター運動』が盛んだった。この展覧会が次世代のアーティストを支える『平成の小コレクター運動』のきっかけになれば」と期待を寄せる。
開催時間は9時~16時(日曜は17時まで)。入館料は、一般=200円、中学生以下無料。8月16日まで。