鯖江のIT企業、「背景倉庫」開設 漫画家の作業効率ネットで後押し

無料で使えるビルや工場などの背景データもある

無料で使えるビルや工場などの背景データもある

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 鯖江市のIT企業「リプレッド」(鯖江市柳町2、TEL 0778-43-6005)が7月21日、背景画像販売サイト「背景倉庫」を開設した。

原画を披露する宮前社長。「新作やクーポン情報をツイッターやメルマガで発信予定」と登録を呼び掛ける

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 漫画家や漫画制作を趣味とするアマチュアなどに向け、作品内で使える背景画像データを1点270円からダウンロード販売し、複数データのセット売りも行う。支払い方法はクレジットカードとネット銀行決済の2通りで、購入者本人であればダウンロード後の利用期間・回数に制限はなく、複数コマや他作品への転用もできる。

 同社の宮前亮太社長によると、漫画家で妻の聡子さんとの雑談をきっかけにサービスのアイデアを練り始め、約1年かけて開設にこぎ着けたという。「漫画の制作工程はデジタル化が進んでいるが、背景作画はアナログ作業がまだまだ主流。『背景に時間や費用を掛けられない』『アシスタントが見つからない』などの悩みを抱える漫画家は多い」と話す。

 「実写画像を線画に変換する『レンダリング』という技術もあるが、遠くに向かうほど描画を簡略化する『空気遠近法』などの表現が十分でないのが現状」と、聡子さんなど作画経験者によるペン書き原画にこだわった。原画は解像度600dpiでスキャンし低圧縮率でJPEGデータ化。汎用(はんよう)性の高いデータ形式のため、ほぼ全ての作画ソフトで利用できるという。

 開設に合わせ、需要が多いとされる学校や住宅をメーンに約100点を用意した。「場面転換などに使われる遠景の絵と違い、人物同士の会話などで使われる背景は何度も描く必要がある」と近景を軸にラインアップし、人物画と重ね合わせたときに不自然にならないようアングルの高さにも配慮したという。

 「大学の漫画研究部に所属した経験から、制作現場の課題解決につながればと会社設立に踏み切った」と宮前社長。「取り扱い点数を4桁台にするのが当面の目標」と話し、「きれいな線を正確に描ければ背景画作家として活躍できる可能性はある。地元の隠れた才能を掘り起こし雇用創出にもつなげたい」と将来図を描く。

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