福井市のまちづくり団体が11月上旬、地域資源を題材としたオリジナルかるたの完成を発表した。
完成したかるたは「カルタで語る西藤島」で、同市のまちづくり団体「西藤島地区まちづくり協議会」のメンバーらが制作実行委員会をつくり、同地区の名所、歴史、行事などを題材に3年かけて制作に取り組んだ。
同協議会会長の赤松昇樹さんによると、地区内にある西藤島小(三郎丸1)から同地区の歴史に関する授業依頼があったのが制作のきっかけという。「何回か授業支援に出向くうち、子どもたちに地区の歴史をより分かりやすく伝えられる教材があればと考えるようになった。元教員や、地区内にいる絵手紙愛好者らに声をかけて制作が始まった」と振り返る。
かるたには、深谷古墳、小黒丸城跡、善照寺などの史跡、公民館や防災ステーションなどの地域施設、地区文化祭、音楽フェスティバル「にし・フジロック」などのイベントなど、老若男女が楽しめる題材を幅広く盛り込んだ。
取り札制作は絵手紙愛好家の折戸健一さんが担当した。福井市などが主催する美術展「市美展」での入賞経験もある折戸さんは「子どもが親しめるようにはっきりした輪郭と鮮やかな色で描き、共生社会も意識した絵柄にした。私自身がネコ好きなので、取り札44枚の約7割にネコの体やしっぽなどを遊び心で忍ばせた。気付いた時にふと和んでもらえれば」と話す。
読み札制作に当たっては、住民からの情報などを基に文案を絞り込んだ。元小学校教諭で読み札作りを担当した川上千鶴さんは「小学3、4年生が読めるよう、平仮名だけでなく、すでに習った漢字も使って表現を整えた。ユニバーサルデザインに配慮したUDフォントを使ったり、声に出した時のリズムを考慮したりするなどの工夫も盛り込んだ」と説明する。
200セットを製作。完成に合わせて11月21日、同小へ30セットを寄贈し、今後、地域イベントでの一般販売も予定する。赤松さんは「地区の人の思いが詰まったオリジナルかるた。大人も初めて知るような事柄を多く盛り込んだので、家族で遊ぶことを通じて地元をより好きになるきっかけになれば」と期待を込める。