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福井の農家が「夏イチゴ」販売へ 「地域の新たな名産に」と意気込み

商品を手にする池田さん。「夏イチゴで福井の夏を盛り上げる」と意気込む

商品を手にする池田さん。「夏イチゴで福井の夏を盛り上げる」と意気込む

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 福井市の農業生産グループ「レールベリー」(大瀬町)が6月22日、自社栽培した「夏イチゴ」の販売を始める。

農地で実を付ける、収穫前の「なつあかり」

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 地下水を活用した生産技術で夏季の出荷を可能にしたという取り組みで、福井市主催の「第19回 福井発! ビジネスプランコンテスト 2022」グランプリを受賞した事業。鉄道会社社員の肩書も持つ、グループ代表の池田康成さんらが手がけたイチゴを市内の土産物店などで販売する。

 事業は、当初2023年春の予定だった北陸新幹線延伸開業が1年延びたことをきっかけに立案された。池田さんは「国産イチゴの卸売り数は毎年3月ごろがピークで、夏季の流通量はその30分の1程度。栽培地から販売店までの移動距離が短いという利点を生かし、完熟の夏イチゴを福井県の名産品にできればと考えた」と振り返る。

 作付面積は約350平方メートル。栽培に当たり、シーズンオフ時に約800アールが眠っているという県内の育苗用ビニールハウスに着目した。農地には、根元、土、ビニールハウス屋根それぞれを地下水で冷却する設備、日没から日の出まで明かりをともす照明、空気を循環させる扇風機などを取り付けた。鉄道会社で働くスタッフがいることから設備の大半を自動化し、天気や気温に応じた微調整を施しながら栽培環境の向上を図る。

 栽培品種は、9種の候補の中から選び抜いたという「なつあかり」。夏から秋にかけて実を付ける「四季成り性」の品種で、できるだけ長い間実を付けられるようにコントロールすることも可能という。「行政機関、研究機関、生産農家などの協力を得て、栽培に関するさまざまな可能性が見えてきた。糖度の高さ、色つや、大きさなどを追い求めることはもとより、生産の安定性、新種開発、加工品開発と挑戦すべきことは多い」と池田さん。

 販売開始日は、6月の満月を意味する「ストロベリームーン」に当たる。池田さんは「福井の夏イチゴの知名度を上げ、地元の人たちに夏イチゴを身近に感じてもらえるよう流通を定着させることが目標。夏イチゴ栽培を考える福井県内の事業所などとも連携し、栽培のノウハウを伝えながら展開できれば」と話し、イベント出店やSNSでの情報発信にも意欲をのぞかせる。

 価格は、1粒売り=350円、150グラム入り=1,500円。土産物店「福人喜」(中央1)、ファーマーズマーケット「トレタス」(高柳2)などで販売する。

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