福井市美術館(福井市下馬3)で6月3日、企画展「大村雪乃展 BEAUTIFUL LIGHTS -丸シールアートの世界-」が始まった。
文具の丸シールを画材とした作品を国内外で展示する美術作家・大村雪乃さん(東京都在住)による展覧会で、同館とFBC福井放送でつくる実行委員会が主催。2階の企画展示室などを6つのゾーンに分け56点を展示する。福井での展覧会は今回が初めて。
東京・六本木のホテルから見下ろした夜景を題材にしたという「Beautiful Midnight」は2012(平成24)年、東京ミッドタウンアワード・オーディエンス賞を受賞した作品。幅約3.9メートル、高さ約2.9メートルというサイズで、大村さんによると「天井の高い空間でないと設置できない作品で、6年ぶりの展示」という。
北陸地方に関連する作品もあり、日本各地の夜景に題材を求めた「光の旅」ゾーンには金沢の夜景を描いた「茶屋町 KANAZAWA」「卯辰山 KANAZAWA」が、「Carpe Diem 花のシリーズ」と銘打ったゾーンには立山連峰を望む富山の春景色を描いた「春の四重奏」がそれぞれ並ぶ。
多摩美術大で油絵を専攻した大村さんが丸シールでの創作を始めたのは大学2年の時。「油絵のように専門性を高めて技術を磨くようなアートだけが美術表現ではないのではと考えた。画材として認識されなかった物を使うことで表現の可能性を知ってもらい、多くの人に美術を楽しんでもらえればと探究を始めた」と振り返る。
福井での展覧会にちなみ、JR福井駅前の風景をモチーフにした参加型ワークショップ作品「恐竜広場」も設ける。作品表面のガイド線に沿って丸シールを貼り完成に近付けていくという仕掛けで、用意されたシールを来場者が思い思いに貼る様子が見られた。
大村さんは「50点以上の作品を並べる展覧会は初めてで、すてきな美術館に展示してもらえて光栄な気持ち。大型作品のスケールを感じたり、作品に近付いてシール一つ一つの色を確かめたりしながら、アート表現を身近なものとして捉えてもらえれば」と話す。
会場内は撮影可能で、同館はハッシュタグ(検索目印)「#大村雪乃展」「#丸シールアート」「#福井市美術館」などを付けたSNS投稿を呼びかける。関連イベントとして、6月17日・25日、7月1日の各日14時から、担当学芸員による「見どころ解説会」を行う。
開館時間は9時~17時15分(入館は30分前まで)。料金は、一般=1,000円、高・大生=800円、小・中生=500円。月曜休館。7月9日まで。