福井の「黒龍酒造」(永平寺町松岡春日、TEL 0776-61-6110)が3月末をもって「黒龍 本醸造」の販売を終了すると発表した。
福井県産の酒米「五百万石」を使い、「合わせる料理を選ばず、燗(かん)よし冷やよしの酒」としてこれまで長年販売してきた同商品。
同社経営企画部の薮下喜行さんは販売終了の背景について、「日本酒市場の縮小」と話す。薮下さんによると、国内の日本酒生産量は1974(昭和49)年をピークに下降線をたどり、今ではピーク時の3分の1に落ち込んでいるという。「かつて『一級酒』『二級酒』と呼ばれた本醸造酒などの酒類の落ち込みが著しいため、今後は市場ニーズの高い純米系を主力に経営方針を転換する」と薮下さん。
1992年の級別制度廃止を機に構成した商品ラインアップを23年ぶりに大幅刷新し、4月からは、「黒龍」「九頭龍(くずりゅう)」の2本柱で展開する。「どちらも以前からのブランドだが、冷やで味わう『黒龍』、燗よし冷やよしの『九頭龍』とコンセプトを明確にして銘柄を整理」する。リニューアルを機に同社初の純米酒「九頭龍 純米」も発売し、ブランド周知に向けた「九頭龍ツアー・イン・フクイ」も福井県内で開く予定という。
「黒龍 本醸造」の販売終了を間近に控え、昭和時代に使われていたラベルを限定復刻した。薮下さんは「燗でも冷やでも楽しめるということで長年親しんでいただいた商品。特に1升びんサイズは、数多くの冠婚葬祭の場に寄り添ってきたのではと思う。これまで支えてくださった皆さんに感謝したい」と話す。
価格は、720ミリリットル入り=1,023円、1800ミリリットル入り=2,044円。