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福井の高校生、学習アプリ軸に起業へ 「気軽に質問」環境づくりへ協賛呼びかけ

「アプリを作って、質問することの大切さを改めて実感した」と話す森本さん。今後、同校の1、3年生にも利用を促す予定という

「アプリを作って、質問することの大切さを改めて実感した」と話す森本さん。今後、同校の1、3年生にも利用を促す予定という

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 福井在住の高校生が現在、自ら開発した学習支援アプリの全国展開を視野に起業準備を進めている。

森本さんは今年8月、広島市で行われた情報・教育関係者向け国際会議「WCCE2022」でもポスター発表。県外の学校関係者が同アプリに関心を寄せたという

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 準備を進めているのは高志高(福井市御幸2)2年の森本新太郎さんで、「quelmap(クエルマップ)」というアプリを軸にした事業展開を見据える。アプリは学習上の質問点などを匿名で投稿し、同級生や教員が回答するコミュニケーションツールで、1月から校内の一部で運用をスタート。現在、生徒・教員ら計約130人が使う。

 開発を始めたのは同校1年だった2021年春。前年から続くコロナ禍で学校生活に多くの制限が加わり、友人や教員とのリアルなコミュニケーション不足を実感したのがきっかけだった。同校ではグーグルの「クラスルーム」なども学習活動に取り入れているが、質問時に実名が分かることに抵抗を感じる声も耳にしていたという。

 「私自身も含め、生徒が気軽に質問できるような環境を作りたい」と一念発起した森本さんは、夏休みを開発期間に充て、手始めにウェブブラウザで動作するウェブアプリ版を作成。ウェブの技術を転用してスマホアプリを開発できるソフトウエア「Cordova(コルドバ)」などを用いることで改良し、スマートフォンでの使い勝手も向上させた。

 当時在籍していた学級を起点に徐々に利用者を増やす方針とし、校長ら教員へのプレゼンテーションも行った。「当初は自分でも何を言っているのか分からないくらい説明に詰まることも多かったが、説明の機会を重ねるごとにスムーズにプレゼンテーションができるようになった。話すスキルの向上を実感している」と森本さんは振り返る。

 アプリユーザーにそれぞれアカウントを割り当てることで、教員アカウントから閲覧すると質問した生徒の名前が把握できる仕様。写真投稿もでき、数式を伴う内容など文字入力が難しい質問にも配慮した。質問や回答に「いいね」を付ける機能や、回答を二者択一で募って集合知で答えを明らかにしていく投票機能なども設けた。

 現在は、同校2年生と教員がアプリを利用し、これまでに約100件の質問と約150件の回答が投稿された。生徒からは「休日、自習している時にも投稿できるのがいい」「職員室に入りづらさを感じる人も質問しやすい」、教員からは「生徒の質問の視点から新たな気付きを得られることも多い」という声が寄せられている。

 森本さんは、同校のように学習指導の課題を抱える全国の学校にアプリを広めようと株式会社の設立を計画。福井県の「学生起業応援事業(助成金)」に応募し、9月1日、採択が決まった。助成金は登記手続きなど会社設立の諸費用、専門技術者によるリファクタリング(=プログラムの整理)にかかる技術料、当面のサーバー賃借料などに充てる。

 事業展開に当たっては協賛企業を募り、各校にアプリを無償提供するビジネスモデルを構築する方針を立てる。企業にはアプリ内でのアンケート機能などを、生徒にはキャリアデザインに関する質問を社会人に投げかけられる機能などをそれぞれ設ける予定で、福井県内の数社がすでに関心を示しているという。

 「もともと起業ありきのアプリ開発ではなかったが、他校への展開を進めるに当たり、会社として学校と交渉できる体制をつくることが必要と考え株式会社を設立することにした」と森本さん。応募書類作成の過程で企業経営にも興味が湧いたと笑顔を見せ、コンピューターサイエンスと経営学を専攻できる大学への進学を目標に掲げる。

 導入の検討など、アプリに関する問い合わせはメール(quelmap015@gmail.com)で受け付ける。

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