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「ハピラインふくい」通信(3) -開業に向け胸躍らせる社員インタビュー-

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来春の北陸新幹線福井・敦賀開業まであと約4カ月。同時にスタートする並行在来線の鉄道会社「ハピラインふくい」も開業に向けて着々と準備が進む。開業までの日々のあれこれをつづる連載特集の第3回。
(取材:福井経済新聞編集部)

「誰かを笑顔にできる仕事」を大切にできる鉄道員に

蓬田和紗さん(21歳) 運輸職 入社3年目

-ハピラインふくい入社のきっかけを聞かせてください。

 高校時代に就職を考えていた時に先生に勧められたのがきっかけです。人と接したり話したりすることが好きで、誰かを笑顔にできる仕事ができればと思っていましたし、地元福井の新しい企業でいろいろなチャレンジができそうだと感じたのも決め手になりました。

-面接の時はどのようなことを質問されましたか?

 もちろん志望動機は質問されましたが、面接官が私の緊張を和らげようとしてくれて、ちょっとした世間話や、高校時代の部活動などの話題も出ました。

-ちなみに、高校時代は何の部活動を?

 ウエートリフティング部のマネジャーをやっていました。大会の時に選手の名前を呼ぶ「コール係」を担当することもあって、その時に感じた放送の仕事の面白さが志望動機に結びついていたりもします。駅のアナウンス業務との共通点もありますし。

-もともと鉄道は好きでした?

 鉄道のことはほとんど知らない状態で入社しました(笑)。高校時代、登下校や福井市内に遊びに行く時の移動にJRの電車を使っていましたけど、鉄道そのものの知識は全くなかったですね。あくまでも移動手段としての鉄道という認識で…。

-内定が決まった時の家族の反応はどうでしたか?

 新たに誕生する地元企業ということもあって、皆、喜んでくれました。会社のことがテレビに出ていると録画しておいてくれたり、新聞記事を切り抜いてくれたり…。離れて暮らしている祖母も喜んでいて、「ニュースに出ていたね」とメールをくれたりもします。

-人と接することが好きで志望したとのことですが、現在はどんな職種で仕事をしているのでしょう?

 お客さまと直に接する「運輸職」という職種です。入社3年目になりました。今は、ハピライン開業後も滞りなく業務を行っていくために、JR西日本の制服を着て、JR福井駅で研修を受けています。窓口できっぷを販売したり、改札で切符を確認したり、時間帯を決めて無人駅で改札業務をしたりしています。

-研修といっても座学ではなく、JRの社員と同じような仕事をしているのですね。

 入社後1カ月ほど新入社員の全体研修があって、その後は各配属先で勤務します。JRの社員さんからご指導をいただきながら一緒に仕事をしています。改札では、自動改札機以外に有人改札があるので、ICOCAなどのICカードのご利用にお困りのお客さまの対応をしたりしています。

-鉄道会社の先輩であるJR西日本の人たちと接して、どんな発見がありました?

 鉄道を支える裏方の大変さを目にしました。例えば列車に遅延が起きた時、目の前にある出来事が全てではありません。無人駅で列車を待つお客さまもいらっしゃるので、現場の係長が無人駅への案内を欠かさずにやっていたりもして…。私も最寄り駅が無人駅で、遅延があった時に放送を聞いて安心したことを思い出しました。

-お客さまとの触れ合いの中で、記憶に残っているエピソードはありますか?

 窓口でやりとりしたお客さまからお礼の言葉を頂いたり、遺失物の対応をしたお客さまから手紙を頂いたりしたことがあって、うれしい気持ちがこみ上げることがよくあります。運輸職は、やりがいがある仕事だなと思いますし、楽しくて苦なことがないというのが実感です。

-開業まで半年を切りました。最後に、蓬田さんが目標として描く「鉄道員像」を聞かせてください。

 開業すると、地元のお客さまの比率がJR線の時よりも増えるのではと予想しています。私も福井が地元なので、ハピラインふくいに愛着を感じてもらえるよう、志望のきっかけだった「誰かを笑顔にできる仕事」を大切にできる鉄道員として成長したいです。海外からのお客さまも増えるでしょうから、語学力も高めていきたいですね。

「社会に残る仕事」に携わる実感が湧いてきた

森光佑斗さん(20歳) 鉄道技術職 入社3年目

-森光さんが担当している鉄道技術職では、具体的にどのような仕事をするのでしょう?

 鉄道技術職全般の話でいうと、車両、施設、電気というカテゴリーがあって、私はその中の施設部門で携わっています。施設部門はさらに、土木、機械、保線という担当に分かれていて、私が担当しているのは土木ですね。

-土木担当の業務をもう少し詳しく聞かせてもらっていいですか?

 鉄道を支える空間自体を造ったり、保守をしたりという業務になります。具体的にいうと、線路の下の盛り土、橋梁(きょうりょう)、トンネル、駅のホームなどのメンテナンスが仕事になります。保線部門との役割分担でいうと、レールやバラスト(=敷石)の保守は保線、その下にある盛り土の保守が土木部門という感じですね。

-森光さんがハピラインふくい、そしてその中での鉄道技術職を志望した理由を聞かせてください。

 高校の時に土木の勉強をしていたこともあって、土木に関係する仕事がしたかったというのが一番の理由ですね。当時の担任の先生の勧めもありました。さらにさかのぼると、子どものころに大きい建造物を見て感動した記憶が原体験なのかなとも思います。

-鉄道そのものには親しみはありました?

 そうですね。実家からちょっと歩いたところにJR北陸線や福井鉄道福武線があるという環境なので、子どものころはよく電車を見に行ったりもしました。鉄道は見るのも乗るのも好きです。

-鉄道好きの森光さんが鉄道会社に内定したので、家族のみなさんも喜んでくださったでしょう。

 高校で土木の勉強もしていましたし、鉄道技術職での採用が決まって喜んでくれました。新しい鉄道会社という、地域の足となる重要な会社なので、ハピラインふくいに対する期待もしてくれているのかなと感じます。

-入社3年目とのことですが、今はどんな仕事を?

 開業に向けて、JR西日本金沢支社で現場の経験を積みながら研修をしている最中です。入社して1カ月ほどは新入社員全員での研修があって、その後はずっと現場で。土木部門は金沢支社の中にあるので、今は金沢にある寮住まいです。生活圏が金沢駅周辺なので、休日はその辺りに遊びに出るのが楽しみになっています。

-実際に現場に出てみて、「こういう心構えだけは忘れるな」というような先輩からの言葉はありました?

 「力の流れをイメージしながら構造物を見なさい」という言葉が記憶に残っています。同じように見える部材も、組み込まれた位置によって役割が違う。そうした役割の違いを意識しながら仕事に取り組みなさい、と。

-そういう指導があったりすると、まちなかにある構造物に対する目線も変わるでしょう?

 そうですね。橋梁やトンネルの構造や、補修の跡など、いろいろなところに目が行くようになりました。

-家族の皆さんにも「橋梁愛」みたいなものを話したりします?

 いやいや、それは…(笑)。だけど、自分に向いている仕事だなとは思います。今はまだ駆け出しですけど、自分が手がけた構造物が一つずつ増えていくことにやりがいを感じているので。開業後に新しい駅を作る計画もありますし、「社会に残る仕事」に携わっている実感も湧いてきています。

-「縁の下の力持ち」的な鉄道技術職の一員として、どのような心がけで仕事に取り組んでいきたいですか?

 鉄道はそれ単体で存在するのでなく、他のインフラとつながっている社会基盤だと思います。鉄道技術職はお客さまと直に接する機会が少ない職種ですが、他の部門の人たちと協力しながら地域の活性化に向けて頑張っていきたいです。そのためには何よりも安全第一。体力が求められる職種でもありますし、体調管理にも気を配って仕事を続けていきたいです。

 

ハピラインふくい 今後のスケジュール
■12月ごろ=運賃公表
■1月ごろ=運行ダイヤ公表
■3月16日=開業

ハピラインふくい 公式ウェブサイト
https://www.hapi-line.co.jp/

ハピラインファンクラブ
https://hapi-line-fc.com/

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