福井市にあるレンタルスペース「FLAT」(福井市順化2、TEL 0776-97-5004)で10月17日から、アパレルブランド「ソメヤミト」の展示受注会が開かれる。
「空間全体を捉えつつ服を際だたせること」が同ブランドのビジュアルコンセプト
オーガニックコットンの草木染製品を手掛ける「ソメヤスズキ」(岡山県美作市)が企画。代表で染織家の鈴木菜々子さんは「昨年の立ち上げ当初から服への展開を考えていたが、自分には服づくりのノウハウがなかった。ちょうどいいタイミングで友人が服飾デザイナーとして独立したので、『服づくりのプロ』を信頼して声を掛けプロジェクトが始まった」と話す。
同ブランドのコンセプトは、「倫理的」「道徳上」などを意味する英語「エシカル」を冠した「エシカルファッション」。生地や糸にインドやパキスタン製のオーガニックコットンを使用。奄美大島や美作の天然染料で1枚ずつ染め上げるのを特徴とする。
デザインとパターン起こしを東京都在住の水戸守奏江さんが担当する。水戸守さんは福井市生まれ。北陸高から武蔵野美大を経てアパレルメーカーに就職。デザイナー・パタンナーの腕を磨き、この春からフリーランスで活動を始めたばかり。
「もともと自分の体に興味があり、それを形づくる食べ物にも興味が向いていた。マクロビオティックやヨガなどに夢中になり、体の声を聞き生活することを軸にするようになった」と水戸守さん。鈴木さんのライフスタイルにも共感できる点が多く、プロジェクトの打診を受け自然につくるものが見えたという。
同ブランドにはもう1人、福井出身のクリエーターが参加している。神戸市在住のフォトグラファー片岡杏子さんだ。武生高時代から写真に興味のあった片岡さんは、同大を経て東京都内の撮影スタジオに就職。東日本大震災を機に関西に移住し、フリーランス活動を始めた。同大在学中から鈴木さんと親交があり、同ブランド全てのビジュアル撮影を担当することとなった。
受注展示会では、レディースをメーンに2015年春夏向けウエアの展示を予定する。故郷での初披露を控え水戸守さんは、「アイデアを練って実際に服をつくり、着る人に届けるまでが『服づくり』。多くの人が関わりいろんな要素が合わさって、それが実現できている」と話す。その上で、「服を届けるまでの過程をできるだけシンプルに、風通し良くすることをプロジェクトでは大切にしたい」とも。
片岡さんも、自身の作品を福井で発表するのは初めて。「県外で写真の仕事を始めたので、自分がつくっているものをようやく家族に見せられる機会が来た。開催が決まり、『知り合いにDMいっぱい配るから』と母のテンションがすごく上がったのがうれしい」と笑顔を見せる。
開催時間は12時~18時。今月19日まで。