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福井でアートイベント「一乗谷でつくる・あそぶ・考える」

鍵盤ハーモニカで「ひとりオーケストラ」を披露する予定の松本真昭さん

鍵盤ハーモニカで「ひとりオーケストラ」を披露する予定の松本真昭さん

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 福井市にある「一乗ふるさと交流館」(福井市東新町)で9月23日、アートイベント「一乗谷でつくる・あそぶ・考える」が開かれる。

「地域に産業を作る」というビジョンを活動に盛り込む朝倉恒憲さん・由希さん夫妻

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 アサヒグループ芸術文化財団(東京都墨田区)がサポートする「アサヒ・アート・フェスティバル 2014」の一環。同市一乗地区に住む朝倉恒憲さん・由希さん夫妻を中心とする「一乗・創造の谷プロジェクト」が企画した。当日は、地域の伝承料理を使った「朝倉膳」の調理体験、鍵盤ハーモニカライブ「ケンハ・シンセ・スタイル」、同地区の風景写真展などを予定する。美術分野にとどまらない多彩なプログラムが特徴だ。

 戦国時代の栄華をしのばせる一乗谷朝倉氏遺跡がある同地区。同市は「観光の目玉に」と、ソフトバンクモバイルのCMロケを誘致したり、地域の足であるJR越美北線にラッピング車両を走らせたりするなど力を入れる。同プロジェクトの狙いは「遺跡の陰に隠れている地域資源の掘り起こし」。恒憲さんは「地元の宝を線でつないで一乗谷全体を『遊べるエリア』にしていかないと、地域全体の過疎化が進むのではと考えた」と背景を話す。

 そこでメーンプログラムに、トークセッション「一乗谷の魅力とその活用の可能性」を据えた。パネリストは、加藤種男さん(企業メセナ協議会)、佐々木正信さん(同地区自治会連合会)の2人。由希さんは「長く地元を離れていたので自分自身が地域の魅力を分かっていない。参加者の一人として、一乗谷の『活用の種』を見つけるきっかけになれば」と期待を込める。

 東京芸大と静岡文化芸術大の非常勤講師を務める由希さんの専門領域は、芸術活動支援の方法論を探る「アートマネジメント」。由希さんにとって同イベントは研究分野の実践の場でもある。「『田んぼの中にかかしを立てる』というようなプランも描いたが、他の地域でやっていることをあえて一乗谷でやる必要はない」。地域の暮らしに根ざしたアートこそが人の気持ちを動かすと実感した。

 他方で恒憲さんは、同プロジェクトを地域雇用創出の核にするプランも描く。「地区外に職場を持つ若い人たちも、仕事があれば一乗谷で働いてくれるのではないか。例えば今回行うカホン製作ワークショップも、林業からのアプローチで産業化できる可能性がある。掘り起こした地域資源を経済活動につなげていければ」

 プロジェクトのお披露目を兼ねた同イベント。終了後も「規模よりも継続性」を重視し、短い周期でさまざまなプログラムを打ち出す予定だ。2人は「『小さいけど何か面白い出来事が一乗谷で起きている』という情報を発信していきたい。子どもの世代になっても一乗谷がいい場所であり続けるために」と意気込む。

 料金は大人1,000円ほか(プログラムにより異なる)。一部のプログラムは事前申し込みが必要。

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