敦賀市出身の山下大裕さんが手がけた映画「ひとしずく」の上映会が12月13日、きらめきみなと館(敦賀市桜町)小ホールで開催される。
「ひとしずく」は地域おこし協力隊をテーマにした長編映画。鹿児島県南大隅町の地域おこし協力隊員として東京から移住した20代の女性を主人公に、理想と現実とのギャップに悩みながら地域に少しずつ根を張っていく姿を描く。
山下さんは母方の実家のある同町を舞台とした映画製作を考え、2017(平成29)年、同町に移住。「町のことを知らずに作る映画は私が信じる地域映画の在り方ではない」と、同町の地域おこし協力隊員に志願し映画作りのベースを築くことにしたという。
着任から半年ほどたった頃、地域おこし協力隊をテーマにした映画作りを思い付いた。山下さんは「鹿児島県内の同期隊員の話を聞いたり、私自身が隊員として経験を積んだりする中で、協力隊こそ映画の題材になると感じた。隊員はそれぞれの思いを胸に『第二の人生』を歩んでいて、一人一人に映画一本に値するドラマがあると考えた」と振り返る。
脚本執筆に当たり、協力隊退任後に47都道府県を軽自動車で巡り、延べ200人以上の現役協力隊員らから話を聞いた。取材を通して各地の協力隊員がぶつかる壁の共通点が浮かび上がり、「喜怒哀楽を交えて共通点を描けば、全国各地で受け入れてもらえる『地域おこし協力隊映画』が出来上がると確信した」という。
新型コロナによる撮影延期を乗り越え、作品は一昨年の11月に完成し、山下さんは各地で自主上映会を重ねてきた。今年9月には東京・新宿の映画館「ケイズシネマ」で1週間上映され、かねて掲げていた「監督作の劇場公開」という目標も実現させた。
敦賀市での上映会は、映画上映と舞台あいさつをそれぞれ4回ずつ行うプログラムで構成する。舞台あいさつは福井在住のタレント・もりゆかさん進行の下、山下さん、主演の工藤成珠さん、同市出身俳優の笠野龍男さんらが登壇して製作エピソードなどを披露する。
地元での監督作上映は8年ぶりという山下さん。「14年前、18歳の時に『2020年までに全国公開映画を撮る』と宣言して今に至った。劇場公開までこぎ着けたとはいえ、全国公開という目標には道半ば。夢を追うのは一筋縄ではいかないが、8年間の活動報告も含め、現在の私の姿を伝えられるような上映会にできれば」と話す。
9時30分開演。料金は、一般=前売り1,400円、当日1,500円、小中学生=1,000円。田代時計修理工房(白銀町)などで前売り券を販売する。