
福井市出身の染色家・玉村咏さんの展覧会「掉尾(ちょうび)を飾る」が5月1日から、福井市美術館(福井市下馬3)で開催される。
玉村さんは1947(昭和22)年生まれで、22歳の時に京都に移住し、独学で染色を学んだ。「染色の魅力に引かれて50年以上の年月が流れた。発想や創作にもがき苦しんだ私を励ましてくれたのは、京都の染色の伝統と京都人の誇り」と話す。
「福井で最後の個展」と銘打ち、企画展示室全館で作品を展開する。展示作品は、着物約40枚、帯約20本、スカーフなどの小物、額縁などのインテリア作品など。染色後に横糸を抜く手法で作った大型のファイバーアート、若い頃に模写したという歌川広重の「東海道五十三次」なども展示する。
玉村さんの作品は全て一点物の手描き染めで、デザインから仕上げまでをアトリエ内で一貫制作するという。玉村さんは「着物を染める染色家という仕事は私にとっての天職。女性を笑顔にして輝かせることに使命感を覚えるから」と創作活動を振り返る。
「作品が一堂に会するような発表の場は今後、京都市に限定されるかもしれない」とも。「福井の地が育んでくれた忍耐力と、地元出身者に惜しみない愛情を注いでくれる福井の人たちのおかげでここまで来られた。そのことに心から感謝し生涯制作を続けたい」と玉村さん。
関連イベントとして5月3日16時から、会場内で玉村さんによるトークショーを行う。福井出身のフリーアナウンサー・バーランド和代さんの進行の下、作品に対する愛情、個展への思い、今後の夢などを話す予定という。
開催時間は9時~17時(最終日は16時30分まで)。入場無料。5月6日まで。