土木・建築資材及び各種不織布を製造・販売する前田工繊株式会社(本社:東京都港区、社長:前田尚宏、以下「前田工繊」)は、この度、海洋ごみ対策製品としてカキ養殖筏用「耐候性フロートカバー」を開発いたしました。
1.開発の背景
カキ生産量日本一の広島県では、30万個以上の発泡スチロールフロートが養殖筏に取り付けられ使用されており、発泡スチロールフロートの劣化・流出は、海洋ごみの観点から広島県において重要な問題となっています。
カキ養殖筏
傷んだ発泡スチロールフロート
発泡スチロールフロートの劣化・流出の原因はさまざまありますが、当社は劣化によるフロートの流出を防ぐことを目的に、従来品とは異なる強化生地を用いて耐久性を高めたカキ養殖筏用「耐候性フロートカバー」を新たに開発しました。
発泡スチロールフロート
耐候性フロートカバー
【耐候性フロートカバーの取付方法】
現在、瀬戸内オーシャンズX(※)と広島県漁業協同組合連合会は耐候性フロートカバーを取り付けたフロート1000本(カキ筏30台相当)を沖合海域にある筏に設置し、大規模使用モニタリングを開始しています。
(※)瀬戸内海に面する4県(岡山県、広島県、香川県、愛媛県)と日本財団が2020年12月に連携協定を締結し、共同で推進している包括的海洋ごみ対策プロジェクトです。
外界からの海洋ごみ流入が少ない海域(閉鎖性海域)である瀬戸内海をフィールドに、1.調査研究2.企業・地域連携3.啓発・教育・行動4.政策形成の4つの柱で事業を推進しています。
2.耐候性大型土のうの技術を注いだ「耐候性フロートカバー」
発泡スチロールフロートは劣化防止及び取扱い性向上のため、周りをカバー材で覆ったものが多く使用されています。しかし、従来品は2~3年程度で生地や縫製部が破断して、発泡スチロールフロートが?き出しになってしまうことが少なくありません。
また発泡スチロールフロートの耐久性は5~8年程度であるのに対し、カバー材の耐久性が見合ってい
ないことも課題の一つでした。
従来品の課題を克服し、海洋ごみ対策へ貢献当社は土木工事用に長期仮設(3年)対応の耐候性大型土のう「ツートンバッグ」の製造・販売を行っています。
これは3年間の仮設工事後であっても、安全に吊り上げ・撤去することが可能な大型土のうで、耐候性フロートカバーにはこの耐候性大型土のうの生地を使用しました。プラスチック製品の一番の劣化要因である紫外線に対し高い耐久性を有することが確認されています。
耐候性大型土のう「ツートンバッグ」