(一社)福井環境研究開発は8月24日(日)、「ざわザワ高校 ~海の未来をつなぐ哲学~」の第5回授業を開催しました。今回は初の試みとして授業の様子をYouTubeで生配信。ジャーナリストの堀潤さん(学級委員長)、哲学者の岩内章太郎さん(豊橋技術科学大学准教授)と共に、高校生たちが「退屈」をテーマに哲学対話を行いました。視聴者からもリアルタイムで意見を募り、オンラインも巻き込んだ新しい対話の形に挑戦しました。この海洋教育プログラムは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環で行っています。

・開催概要:「ざわザワ高校 ~海の未来を変える哲学~」第5回授業
・日程:2025年8月24日(日)
・開催場所:越廼サテライトオフィス(福井市)
・参加者:堀潤さん(学級委員長、MC)、岩内章太郎さん(豊橋技術科学大学准教授)、高校生9人
・番組:「ざわザワ高校 ~海の未来を変える哲学~#5」
〇放送 福井テレビ 11/29(土)10:55~11:25 ※予定
〇配信 YouTube
https://www.youtube.com/c/fukuitvbroadcasting
TVer
https://tver.jp/
今回の哲学対話のテーマは「退屈」。授業の前半は、高校生たちが「これまでの人生で本当に退屈だと感じた瞬間」について、具体的なエピソードを語り合うことから始まりました。ホワイトボードには、「卒業式の練習」「アトラクションの待ち時間」といった誰もが経験する場面から、「積極的にしたくないことをしている時」「自分の個性が出せない時」といった内面的な感情まで、多様な「退屈」が書き出されていきました。
今回は初の試みとしてYouTubeで生配信し、視聴者からも「あなたの退屈エピソード」を募集。生徒たちの話に加え、「コロナ禍での自宅待機」や「毎日繰り返される、学校と家の往復」といった、世代を超えて共感できるものから、「退屈だと思ったら、海や山など自然の中に遊びに行く」といったユニークな過ごし方まで、福井県の内外から寄せられた具体的なエピソードを多数紹介。様々な立場の「退屈」を共有することで、対話の土台を築きました。

授業の後半も、対話の主役は教室にいる高校生たちです。彼らが「退屈」の本質について思考を深めていく中、視聴者からもより本質的な意見を募集。寄せられたコメントの中から、「退屈は、次へのステップのための準備期間」「何かを生み出すきっかけになる」といった、「退屈は悪いことばかりではない」という趣旨の意見を紹介しました。高校生たちの対話に、視聴者からの多様な視点が加わったことで、議論はさらに厚みを増し、「退屈とは、一体何なのか?」その本質へと迫っていきました。
「退屈」の裏側にある「充実」や「熱中」との違いを考えながら、何もしない時間そのものが持つ価値についても思考を巡らせます。対話を通して、生徒たちは「退屈」をネガティブなものとしてだけではなく、何か新しいことを始めるためのエネルギー源や、自分自身と向き合うための大切な時間として捉え直していきました。生配信ならではの双方向性によって、非常に厚みのある哲学対話が実現しました。
さらに授業後には、越廼海岸でフィールドワークを実践予定です。都市部から離れたこの場所へ移住し、活躍する人々を訪ね、ともすれば「退屈」に見えるかもしれない場所で、どのように「海の可能性」を見出し、充実した日々を送っているのかを取材します。哲学対話で得た視点を持って移住者のリアルな言葉に耳を傾けるこの模様は、11月29日放送の番組内で紹介します。
学級委員長・堀潤さん
今日は生配信ということで、視聴者の皆さんから本当にたくさんの声をいただきました。高校生の皆さんの言葉と、視聴者の皆さんの言葉が交差することで、『退屈』というテーマがこんなにも豊かになるとは、僕自身も大きな発見でした。この対話の輪が、地域の可能性を見つける力になっていくと確信しています。
哲学講師・岩内章太郎さん
最初はネガティブなイメージだった『退屈』が、対話を通じて『何かを生み出すための準備期間』や『自分と向き合う時間』といったポジティブな側面を持っていることが見えてきました。一つの物事を多角的に捉え、その本質を探っていく。まさに哲学対話の醍醐味を、生配信に参加してくださった皆さんと共有できた素晴らしい時間でした。
高校生の皆さん
・今まで『退屈』な時間は無駄なものだと思って避けていましたが、今日の対話で、その時間があるからこそ考えが深まったり、新しいことに挑戦したくなったりするんだと気づきました。
・みんなの話や、特に配信を見てくれている人の『退屈は準備期間』というコメントを聞いて、ハッとしました。これからは退屈な時間を、もっと前向きに捉えられそうです。
・自分一人で考えていたら、退屈の悪いところしか見えなかったと思います。色々な人の意見を聞くことで、一つの言葉にこんなにたくさんの意味があるんだと知れて、すごく面白かったです。
「ざわザワ高校」が目指すのは、海や沿岸地域の「新しい可能性」の発見です。「退屈」という一見ネガティブで個人的な感情を起点に、地域の未来を考えるというユニークなアプローチは、高校生たちに新たな視点を与えてくれました。今後も生徒たちは、多様な人々との対話を通じて、海の可能性を探る旅を続けていきます。
<団体概要>
団体名称 :一般社団法人福井環境研究開発
URL :
https://fukui.uminohi.jp/
活動内容 :北は東尋坊にみる奇岩断崖が続く越前海岸、南は優美なリアス式海岸の若狭湾と変化に富んだ福井県の海は、北前船などの海上交通の要衝として古くから栄えてきました。また、寒流と暖
流が交わる福井県沖は越前がにや若狭ガレイなど海産物の宝庫。(一社)福井環境研究開発では、海に親しみ、大切にする心を育む運動を進めています。
日本財団「海と日本プロジェクト」
さまざまなかたちで日本人の暮らしを支え、時に心の安らぎやワクワク、ひらめきを与えてくれる海。そんな海で進行している環境の悪化などの現状を、子どもたちをはじめ全国の人が「自分ごと」としてとらえ、海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げていくため、オールジャパンで推進するプロジェクトです。
https://uminohi.jp/