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ダマスカス模様の一点もの印鑑-福井・鯖江の印章店、男性向けに

人の手を介した鍛造工程で有機的な模様を生み出した

人の手を介した鍛造工程で有機的な模様を生み出した

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 福井県鯖江市にある印章店「小林大伸堂」(鯖江市水落町2、TEL 0778-52-8811)が11月23日、男性向けクラッドメタル印鑑「gene(ジェーネ)」を発売した。

ルビーなどを印材にした「宝石印鑑」も扱う直営店舗で、稔明さん(左)と照明さん(右)

 クラッドメタルは「金属のベニヤ板」とも言われる金属材料。異なる性質をもつ金属の溶接・圧延により作るもので、高い耐腐食性や強じん性に特徴がある。同商品では2種類のステンレスを60層重ねたクラッドメタルを使用。木目状の「ダマスカス模様」を実現した。

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 5年ほど前、同社4代目の小林照明さんがクラッドメタル製の越前打刃物包丁を見掛けたのがきっかけ。「ウロコとも木目ともつかない複雑な模様に引かれた。金属系の印材としてチタンを使っていたが、さらに変わった素材を求めていたところだった。『これだ』と直感した」

 素材供給メーカーが武生特殊鋼材(福井県越前市)であると知り、知人を介して訪ねた。しかし、同社に金属刻印できる機材がないことがネックとなった。「当時はすべて手彫り。チタン印鑑の刻印では数え切れないほど針を折った」。その後やりとりを重ねたが、「いずれ近いうちに」といったん見送りになったという。

 2012年にレーザー刻印機を導入し開発のめどがついたものの、トントン拍子とはいかなかった。「印材向けクラッドメタルはメーカーさんも未経験。当初は今と比べものにならないほどツルンとした模様だった」と照明さん。試作のためだけに材料を作ってもらうわけにいかず、端材を譲り受けながらの開発だったと話す。

 イタリア語で遺伝子を意味する「gene」は同社5代目の稔明さんが名付けた。「人と人とのつながりや、過去と未来を結ぶ時間的なつながりが商品コンセプトにある。そこから『遺伝子』のキーワードが自然と浮かんだ」。辞書やネーミングの本を開発チーム内で調べ上げ、発売2年前にして商品名を決めたという。

 金属加工工程で西村金属(福井県鯖江市)が協力し、一本ごとに違う模様を持つ「一点もの」に仕上げた。欠けたり摩耗したりするおそれも皆無で、一般的な印材に比べ手入れしやすいという。印影サイズは直径12ミリ~18ミリの5種類。「15ミリサイズで80グラムと、象牙の約3倍の重さ。大きな取引や融資など重要な契約にふさわしい。契約と印鑑の重さは比例するものだと思う」と照明さん。

 「世の中にないもの」「ステータス感のあるもの」を求める経営者層をメーンターゲットに据えた。押印の習慣がない欧州への展開も見込み、デザイン見本市「メゾン・エ・オブジェ」(仏)の視察で感触をつかむ予定だ。照明さんは「欧州では漢字文化への関心が高い。アートやファッションアイテムとして受け入れてもらえれば」と期待を寄せる。

 価格は7万4,520円~13万5,000円。同社直営店「ローズストーン」とネットショップで扱う。

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