車いす用品を販売する「dforce」(福井市四ツ井2、TEL 0776-52-0204)が6月、車いす用ホイールカバー「dyna」(ダイナ)の価格を改定した。
車いすユーザーで同社代表の藤井義徳さんが「服を着替えるような感覚で、車いすもファッションアイテムになれば」と考えた同商品。デザインやサイズを自由に決められる「カスタムデザイン」(2枚1組 1万800円)と、同社の「オリジナルデザイン」(同8,100円)の2種類がある。共にマグネット脱着式で、円形のカバーを車いすのホイールに取り付けるだけという簡便さを売りにしている。
オリジナルデザインの絵柄は10種類を用意し、ホイール径を約51.5センチと約55センチの2タイプから選べるようにした。カスタムデザインは車いすのホイールサイズに合わせてオーダーメードでき、好きなイラストや写真などを送って自由にデザインできる。
「価格改定のきっかけは『1万円の壁』だった」と藤井さん。福井市主催の「福井発!ビジネスプランコンテスト2010」グランプリ受賞を機に事業化したものの、成約率が上がらないのが悩みだったという。「県内外の企業や個人から問い合わせを受けたり、周囲から好評を得たりすることはあったが、カスタムデザインで1万円以上の価格を提示すると、やりとりがいつも途絶えてしまった」。普及を目指してカスタムデザインの価格を一律にし、同時にオリジナルデザインも約1,800円値下げした。
藤井さんの友人でモニターユーザーでもある、同市在住の銀行員男性は「カバーを着けて出勤したら同僚から『えっ? 何だろう』と注目された。着けてみるまで分からなかったが、自分の車いすはどこにでもあるタイプなので区別しやすくもなった。以前よりも前向きな気持ちで車いすを使えるようになった」と笑顔を見せる。
同商品のユーザーは福井県内を中心に約20人で、藤井さんは「車いす人口の割にはまだ普及していない」と見る。「障がいのある人は施設や家での生活が多く、外出の機会が少ないのが現状。自分も思春期のころは車いす姿を見られるのが嫌だったが、『見られる』から『見せる』の発想で、しゃれたデザインを楽しみながら外出してもらえたら。これまでおしゃれに興味のなかった人にこそ着けてほしい」と話す。
同社ホームページで注文を受け付けている。