福井・坂井に「鉄の溶接テーマパーク」 構想段階からネットで話題に

エプロンやマスク、ヘルメットを着けて溶接に挑む

エプロンやマスク、ヘルメットを着けて溶接に挑む

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 福井県坂井市に6月22日、鉄の溶接テーマパーク「アイアンプラネット」がオープンした。

オープニングセレモニーでは、テープカットならぬ「アイアンカット」が行われた

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 同市内にある「長田(おさだ)工業所」(坂井市春江町西長田、TEL 0776-72-1164)がおよそ半年かけて同社工場2階の資材置き場を改装した施設で、工事費用のうち約58万円をクラウドファンディング(以下CF)で賄った。

 同社の小林輝之社長によると、後継者育成や若手の人材確保に悩む中小企業の課題解決につながればと、約1年前に構想を練ったという。「製造業界全体の経営活動が健全な方向に向かえばと考えた。当社の企業理念である『新しい価値をつくり、全ての人々に笑顔を』にもマッチした」

 施設面積は約19.7坪。溶接機械などを設置した製作スペースと、扉やサッシなど鉄製品を並べたショールームを設ける。改装に関わった坂井市在住の建築士・出水建大さんは「建材の塗装に鉄粉入りの『アイアン塗料』を使い、鉄の質感を保つよう工夫した。引き戸の取っ手に溶接機の持ち手を使うなど遊び心も加えた」と話す。

 溶接体験メニューに、オブジェづくり(2,700円)、ネームプレートづくり(2,160円)、スツールづくり(7,560円)、カホンづくり(1万6,200円)、10分間溶接し放題体験(1,620円)などを用意。同施設スタッフによる講習を盛り込んだ、製作スペース貸し出しプラン(1人1時間3,240円)もある。

 アートディレクションやネーミングなどに参画した福井市在住のデザイナー・野路靖人さんは「『パーク』と『プラネット』が名称の最終候補に残り、初めて訪問したとき感じた異世界の印象からプラネット(=惑星)がふさわしいと推した」と明かす。家族での溶接体験も引き合いに「防護服を着けた子どもの様子がまるで宇宙飛行士のようだった」とも。

 小林社長によると、CFサイトでの募集段階からネットニュースやSNS、テレビの情報番組などで話題になったといい、「『福井に行く理由ができた』といううれしいツイートも見掛けた」と話す。オープン以来、県内外の製造業から視察申し入れが続いたり、週末や夏休みを中心に体験予約が入ったりと反響も上々という。

 「周囲から『アイデアを形にするとはすごい』と言われるが、たまたま自分が社長だから目立っているだけ」と小林社長。「大きい夢を持って始めた事業だが、小さな鉄工所でまだまだ本業をおろそかにできない。オープンを迎えることができたのも、みんなが本業にしっかり取り組んでくれたおかげ」と社員をねぎらう。

 対象は小学3年生以上。ホームページで予約を受け付ける。

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