福井市にある「アクティライフ」(福井市下馬3、TEL 0776-32-7100)が7月1日、祝儀袋「結姫(むすびめ)」の販売を始めた。
名称案を掲げる牧田さん(左)と前田さん(右)。約500点の候補から絞り込んだという
着物生地を使い、使用後に巾着袋として再利用できる同商品。福井で縫製した国産生地と、越前和紙の短冊と中袋、越前水引など限りなく「メイド・イン・福井」にこだわった。柄は、シルク生地の「赤松」、ポリエステル生地の「青竹」、コットン生地の「白梅」の3タイプで、合わせて約50種類を用意する。
福井県や石川県などでリサイクルショップ「キングファミリー」を展開する同社が、5年ほど前から着物買い取りを強化したことが開発のきっかけという。村上与司和社長は「自社商品開発の意欲は以前からあり、在庫を有効活用できればと着物生地を素材にしようと考えた」と話す。
手始めにアームカバーの製作キットを試作したものの、「問い合わせに対応できる人員が確保できず、製造工程上、一部のパーツだけを送ることも難しい」と断念。新品生地を使った完成品の開発に軸足を移し、知人の紹介で仁愛女子短大(天池町)に協力を仰ぐことにした。
同社の呼び掛けに、同短大生活科学学科生活環境専攻講師の前田博子さんや学生など11人が応じ、プロジェクトを発足。前田さんによると、民間企業とのコラボは過去にもあったが、ゼロベースで企画を立案したプロジェクトは初めて。時計、せんす、本など約160件の商品化アイデアから、学生にとって身近な「20歳」とお祝いとの連想で祝儀袋に落ち着いたという。
再利用可能な仕掛けにするため、厚みやサイズなどにも検討を重ねた。プロジェクトメンバーの一人で、卒業生の牧田智香さんは「当初エコバッグを想定し折り方などを相当工夫したが、祝儀袋からかけ離れた厚みになってしまった」と話し、村上社長や前田さんの助言で巾着袋に行き着いたと振り返る。
ネーミングもプロジェクトメンバーの発案といい、「人と人、昔と今をつなぐ商品になれば」と願う女性の思いを託した。牧田さんは「就職活動や卒業研究と重なり大変だったが、みんなで励まし合って乗り越えることができた。メンバー同士の絆の強さが表れた名前にもなった」と笑顔を見せる。
国の「中小企業・小規模事業者ものづくり・商業・サービス革新事業」の一環として開発した同商品は、「メイド・イン・福井」へのこだわりが認められ、福井県が行う「ふくいの逸品創造ファンド事業」にも採択された。村上社長は「展示会出展や首都圏の百貨店・高級文具店などへの働き掛けを通して、販路拡大につなげていきたい」と期待を寄せる。
価格は、「白梅」(2,916円)、「青竹」(3,888円)、「赤松」(4,860円)。同社ホームページで販売する。