鯖江市の生花販売業「華・魅せ・ギャラリィ あいりぃ」(鯖江市吉江町)が現在、越前和紙で作る花「和紙乃華(わしのはな)」の地場産業化プロジェクトを進めている。
作り手育成に励む五十嵐さん(左)。「作る楽しみと収益が両立できる産業に」と意気込む
福井市と越前町に店舗を構える同社は、約5年前から越前和紙を使ったフラワーアレンジメントやリース、コサージュなどの製造販売を展開している。昨年12月には、世界的ブライダルファッションデザイナー桂由美さんのプロデュースで、演歌歌手水森かおりさんの「紅白」ステージ衣装も手掛けた。
同社の五十嵐純子さんによると、「持ち帰りや夏場の水替えなど、年配の方が抱く『生花の不便さ』を知ったことが開発のきっかけ」という。「主人の実家が製紙業で和紙を分けてもらう機会も多く、柔らかな風合いの和紙を使って造花ができればと考えた」。植物由来原料を使う和紙は生花店とも相性がいいと、知人の協力を得て試作を重ね販売に踏み切った。
同プロジェクトは、五十嵐さんが「福井で新しい地場産業を興し、雇用創出につなげたい」と立案。周囲の勧めで「市場ニーズの調査にもつながれば」と、鯖江市が手掛けるクラウドファンディングサイト「FAAVO(ファーボ)さばえ」で賛同者を募ることにした。
8月6日開始の同プロジェクトは現在、約50人から約30万円の支援を得ており、五十嵐さんが案内する和紙産地ツアーなどを盛り込んだ5万円コースにも支援があったという。「予想以上に反響があり自分だけでの対応に限界が見えてきた。少しでも早くニーズに応えられるよう、資格制度づくりなどインストラクター育成に力を注ぐことにした」と、当初23万円だった目標額を100万円に引き上げた。
五十嵐さんの夢は、布やプラスチック、ビニールなどの素材が居並ぶ造花業界で「和紙」という新分野を確立させること。「服飾雑貨やギフト商材へ展開すれば生花店以外の販路も期待でき、製作キットを商品化できれば手芸店やカルチャー教室へもアプローチできる。クラウドファンディングが認知度向上と量産体制の足掛かりになれば」と期待を寄せる。
9月19日から23日まで、福井県のアンテナショップ「南青山291」(東京都港区)で「和紙の花 手作り教室」も開く。約1時間30分のコースで、和紙の花を使った写真立てやコサージュなどの製作ができる。各日3回開催で、定員は各回7人(要予約)。参加料1,000円。予約不要な和紙カード製作コース(参加料500円)も設ける。
同サイトで寄付を受け付けている。10月31日まで。