
勝山市に複合施設「IRIFUNE」(本町1)が8月24日、オープンした。
居酒屋「入船」として営業していた建物をリノベーションし、ゲストハウス、カフェ、チャレンジショップを併設して開業した複合施設。運営を手がける同市の建設会社「北八建設」(沢町2)が勝山市の「空き家利活用促進整備事業補助金」を活用し、一般社団法人全国古民家再生協会福井第一支部とも連携しプロジェクトを進めた。
木造2階建て。延べ床面積は約187平方メートル。1階にコワーキングスペース兼用のカフェとチャレンジショップ、2階にゲストハウスを設ける。
カフェは28席。コーヒー(550円)や紅茶(500円)などのドリンクメニューを用意し、フリーWi-Fiやコンセントなどの設備も設ける。チャレンジショップには、冷蔵庫、シンク、電子レンジなどを備えるキッチンを併設。物販だけでなく、飲食店開業を目指す人も「お試し出店」できるようにした。
ゲストハウスは複数人で利用できる個室2部屋と、2人用ドミトリー(相部屋)1部屋で構成し、窓から見える景色に合わせ、それぞれ「ときわ」「あかね」「さくら」と客室名を付けた。改修前に使われていた座椅子や窓ガラスなどを再利用した宿泊者ラウンジも併設する。
同社は勝山市などが主催する「まちのデザインスクール」に参加したのを機に、2023年度から、新規事業の一環として県内外の学生らと建物の改修プロジェクト「FMAC勝山ゼミ」を展開してきた。
明治時代に完成したという建物の改修に当たっては、かつての趣を残しつつ耐震補強工事を施し、建物の構造が分かる梁(はり)などをあえて露出させたり、古材を使って家具を作ったりするなどの趣向を凝らしたという。
同社社員で、改修当時は京都の大学生だった花崎寛太さんは「学生視点で出したアイデアを収益が伴うプランに結び付けるのが難しかったが、プロや地域の人たちと話し合いをするプロセスは楽しかった」とプロジェクトを振り返る。
オープンに先立ち記念式典があり、水上実喜夫勝山市長、同社取締役の北川皓平さん、同施設のある下後区長の朝井直正さん、花崎さんらがテープカットを行った。
水上市長は「来春には福井県立大恐竜学部勝山キャンパスが開校する。若い人が集まる中核的施設となるよう市としても支援し、地域の活性化につなげられれば」とあいさつ。北川さんは「この複合施設を通して、市の中心地である本町を盛り上げていきたい」と力を込める。
カフェの営業時間は11時~17時。