
ジャズ喫茶「THEE COFFEE(ジーコーヒー)」が6月4日、若狭町にオープンした。
店主の中島祥さんが、かつての宿場町「熊川宿」にある古い蔵を改装して開店した同店。もともと東京の自家焙煎コーヒー専門店が運営していた店舗を店舗マネジャーだった中島さんらが譲り受け、店内のレイアウトを一新するなどして独立開店にこぎ着けた。ジャズ喫茶を「対話の場」とも位置付け、地域文化や社会の課題などについて前向きな議論ができるような空間づくりも目指すという。
店舗面積は約20坪。席数は、テーブル=15席、カウンター=3席。テーブル席は4人がけのボックス席のほか、焙煎(ばいせん)機やオーディオシステムなどを間近に眺めることができる1人席も設ける。中島さんは「視線や距離感に変化を持たせた座席配置を念頭に置き、1人で音楽を楽しみたい人と、会話を楽しみたい人が共存できる空間にした」と話す。
コーヒーメニューは、ブレンド(600円)、ストレート(750円~830円)、カフェラテ(650円)など。福井発祥のミディートマト「越のルビー」などを煮込んだ「ジーカレー」(1,200円)などのフードメニュー、おおい町産の蜜ろうなどを使ったカヌレ(300円)などのスイーツメニューも用意する。
開業に当たり、音楽関係の仕事に就いていた経験もあるという中島さんは「音楽とコーヒー」というキーワードを意識したという。「ジャズ喫茶は日本で独自に発展した業態だが、ジャズに詳しくない人には足を踏み入れづらいという一面もある。海外でジャズ喫茶の評価が高まる中、ジャズ喫茶を現代的な解釈で提示し新たな客層を掘り起こしたい」と話す。
店内には国内外のクラブなどに広く普及しているというレコードプレーヤー「テクニクス SL-1200 MK3D」2台を設置。古典的な名盤から中島さんが特に着目するという2020年代の日本人アーティストまで、幅広く選曲したアナログ盤をかける。選曲に当たっては、観光客や若年層にも響くようなラインアップを心がけるという。
「夜に営業している飲食店が少ない」という近隣住民の声に応え、21時まで営業する日も設けた。中島さんは「夜に明かりがともるだけで町の風景は変わる。熊川宿で夜間営業を始める店が増えるきっかけとなれば」と期待を寄せる。
営業時間は、10時~18時(金曜・土曜・日曜・祝日は21時まで)。火曜定休。