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福井の画廊で「浅野桃子展」 福井で感じたイメージを作品に反映

紙やすりで壁面を覆った作品

紙やすりで壁面を覆った作品

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 福井市の「E&Cギャラリー」(福井市問屋町3、TEL 0776-27-0207)で現在、企画展「沼世、ここ世 Swamp, Here 浅野桃子展」が行われている。

「鑑賞者が思考できるような『すき間』を作るよう心掛けている」という作品

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 浅野さんは1978(昭和53)年岐阜県生まれ。東京芸術大博士課程を修了後、東京を拠点にインスタレーション作品の制作、「3331 Arts Chiyoda」(東京都千代田区)などアートプロジェクトの企画・運営に携わっている。今年4月には、福井大(福井市文京3)教育学部芸術・保健体育教育講座特命講師として着任した。

 今回の作品は「福井の地で感じたイメージを基に会場内で制作した」というインスタレーションで、床材をはがし、アクリル絵の具で木板に描いたペインティングを配置。会場外にも作品を展示し、空間の内と外の境目をあいまいに演出する。

 「東京の生活と福井の生活との間には良い意味でギャップがあり、自分なりの実感を取り込んで表現が少しずつ変化している」と浅野さん。タイトルの「沼世、ここ世」は約半年間過ごした福井の印象を一言で表したと言い、「決して風土や人々を直喩しているわけではなく、音韻も含めた福井の質感のようなもの」と明かす。

 作品作りに当たっては「とにかく、見るということに執念を燃やしている」という。「視覚情報としてだけで『見ること』を捉えるのでなく、空間全体に対して自分の座標をどう位置付けるかを考えている。その思考の延長線上にインスタレーションという表現があるのかも」とも。

 福井のアートシーンの間口を広げることにも意欲を示す。「福井ではインスタレーションを見掛ける機会が少なく、空間全体を使った表現手法もあると知ってもらえたら。作品が難しいと言われることもあるが、素直な目で見てもらって少しでも私の『見る』感覚が伝われば」と笑顔を見せる。

 営業時間は12時~19時(金曜は21時まで)。入場無料。火曜・水曜定休。11月20日まで。

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