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映画サークル「みに・キネマ・福井」、自主上映会100回達成

「映画は『作って終わり』でなく、見る方がいて初めて成立する」と山上さん

「映画は『作って終わり』でなく、見る方がいて初めて成立する」と山上さん

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 JR福井駅西にある映画館「テアトルサンク4」(福井市中央1)で11月9日、映画「沖縄 うりずんの雨」の上映会が行われた。

「100回記念」「『福井新聞文化賞』受賞」というタイミングが重なり、多くの映画ファンが駆け付けた

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 同作は、日本への留学経験もある米映画監督ジャン・ユンカーマンさんが手掛けたドキュメンタリー。太平洋戦争末期の「沖縄地上戦」やその後の米軍基地問題などを題材に、元米兵や元日本兵、沖縄住民へのインタビュー、米国立公文書館所蔵の記録映像などを交え構成する。上映会は、同市内を拠点に活動する映画サークル「みに・キネマ・福井」が企画した。

 同サークルは1988(昭和63)年、「岩波映画を観(み)る会」として発足。1994年に現名称となり、ミニシアター系作品や「社会派」と呼ばれる作品などジャンルを問わない上映会を行う。今月4日には、同市在住の作家・宮下奈都さんらと共に「福井新聞文化賞」を受賞した。

 同サークル100回目となる上映会には、昼の部・夜の部合わせ約180人が来場。19時に始まった夜の部では、同市在住の高橋忠榮代表が「節目となる上映会で作品の絞り込みに悩んだが、今の平和は沖縄の人たちの尊い犠牲があって成り立っていると考え、戦後70年の年に公開された作品を上映することに決めた」とあいさつし、4部から成る同作の上映を行った。

 上映後にトークショーもあり、同作プロデューサー・山上徹二郎さんが「1986(昭和61)年、32歳で映画製作会社を立ち上げ沖縄をテーマにした映画を作り続けてきた。『自分の中の沖縄』に一区切りを付けようと、この作品を2年がかりで製作した」「記録映像は米国立公文書館所蔵のネガフィルムから複製した。撮影場所や日付などネガに添えられた情報から、その日その場にいたであろう元米兵や元日本兵を探し出した」などと明かし、来場者は静かに耳を傾けていた。

 現在、同サークルの運営メンバーは15人ほど。同市在住で、スタッフ歴約15年という増山芳弘さんは「地方であまり上映されない作品を目にできる機会をつくりたいと思い活動している。誰かに喜んでもらえるイベントに関わりたいという性分で、100回になるまで続けてこられたのは見に来てくださる方がいたからこそ」と笑顔を見せた。

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