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福井の寺院で「テクノ法要」 元DJの住職、照明や映像など駆使し演出

連日「夜なべ仕事で」作り込みを重ねる朝倉さん

連日「夜なべ仕事で」作り込みを重ねる朝倉さん

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 福井市の照恩寺(福井市東郷二ケ町、TEL 0776-41-0252)で10月25日、テクノ法要「極楽音楽報恩講」が行われる。

司令塔となる2台のパソコン。DAWソフト「CUBASE ARTIST」、照明制御ソフト「Daslight」を併用する

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 浄土真宗本願寺派の同寺が、同宗の宗祖とされる親鸞(しんらん)をしのぶ年中行事「報恩講」に合わせて企画した。御堂内にステージ照明やプロジェクターなどを設置し、トランス系のテクノ音楽に合わせて仏教の教えを唱(とな)える。法要後には同派布教使による法話も行う。テクノ法要は5月の「極楽音楽花まつり」に続いて2回目。

 同寺17代住職の朝倉行宣さんは20代のころ、京都で舞台照明やDJの仕事をしていた経歴を持つ。昨年10月に住職継承を受けたのを機に「自分の好きなことをやらせてもらおう」と、長年温めていた「お経とテクノを融合した法要」を行うことにしたという。

 奇抜なアイデアのようだが「ご本尊を安置する『内陣』を照らすのは仏教本来の在り方」と朝倉さん。「あらゆる照明器具がある現代は、蛍光灯などで照らされた外陣の方が明るく感じるという逆転現象が起きている。お浄土を美しく見てもらおうと夜の法要にすることを決め、演出プランを考えた」と明かす。

 会場の演出には、WindowsとmacOS、計2台のパソコンを使う。音と映像はWindows側のDAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)ソフトに取り込み、電子楽器制御規格「MIDI」でMac側の照明制御ソフトと同期させる。「現場を離れている間に技術が進化し、基礎から勉強し直した」といい、機材調達、技術習得、映像編集など約2カ月かけて準備を進めた。

 当日の「セットリスト」には、釈迦(しゃか)が極楽の様子や阿弥陀(あみだ)の慈悲を説く教典「仏説阿弥陀経」をメインに、朝倉さんがアレンジを加えた全5曲が並ぶ。「お経に見られる独特の節回しは、蓮如(れんにょ)上人の時代の『今様(いまよう)』という流行歌に由来する。今でいうマッシュアップのようなもので、仲間から『テクノ法要は現代の今様だね』と評価してもらえた」と顔をほころばせる。

 5月のテクノ法要では「想定外の人数」という約60人が同寺を訪れたという。「年配の方の反応が心配だったが皆さん手を合わせてくださりホッとした。20代のときも今も、お客さまと接する仕事という点では共通しており、音楽から仏教の教えへと媒体が変わっただけ。春と秋の行事としてテクノ法要を定着できれば」と意気込む。

 19時30分開演。入場無料。定員100人。

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