福井の樹脂メーカーが「オブジェのような」ゴミ箱販売-海外見本市の評判受け商品化

ふたの素材は、ハードメープル(左)、ウォールナット(右)の2種。白色のみ両タイプが選べる

ふたの素材は、ハードメープル(左)、ウォールナット(右)の2種。白色のみ両タイプが選べる

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 福井の樹脂製品製造メーカー「プラスチックス」(福井市南居町、TEL 0776-33-3111)が3月25日、デザインゴミ箱「SWING BIN(スイングビン)」の販売を始めた。

完成したての商品を手にほほ笑む竹内さん(左)と佐々木さん(右)

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 同社が展開するブランド「MOHEIM(モヘイム)」の第2弾商品。福井出身のプロダクトデザイナー竹内茂一郎さんがデザインした。高さ42センチ、直径21センチのプラスチック製で、色は黒と白の2種。「梨(なし)地」仕上げの本体につや消し塗装を施し、木製のふたをかぶせて高級感のあるたたずまいにこだわった。

 竹内さんは1975年生まれ。丹生高から大学を経て、桑沢デザイン研究所(東京都渋谷区)を卒業後、デザイナーとして活躍。2009年にデザイン系ニュースサイト「デジン」で同商品のコンセプトを発表し、翌年イタリアで開かれた家具見本市「ミラノサローネ」で試作品を展示した。

 「自分の欲しいゴミ箱が世の中になかったことが着想の原点。ゴミ箱はいつも部屋の隅にあり、できるなら美しく古びないデザインであってほしいと思っていた」と竹内さん。形を決める過程では「自己主張しない、オブジェのようなシンプルさ」を求めたという。

 中身が見えないよう、ふた付きのデザインにした。「ふたにもこだわりがあった。従来のふた付きゴミ箱はふたの裏にパイプが通っていたり、本体の内側に軸受けの突起があったりする。不必要な要素を極限までなくしたかった」ことから、木製のふたを本体の縁で受けるシンプルな構造を考案した。

 スチールやアルミ製の本体を想定したが、「重さやコストなど課題が多く見えた」とプラスチック主体へ発想を切り替えた。同社常務の佐々木隆則さんは「2013年夏ごろ、知人を介して竹内さんと知り合った。自社ブランドの商品開発に取り組み始めた時期で、一緒にプランを進める話へと結び付いた」と話す。

 金型に液状の素材を流し込む「射出成形」で本体を作る必要から、金型の資金調達にはクラウドファンディングサイト「キックスターター」(米)を活用した。「試作品発表後、海外から『商品はどこで買えるのか』など問い合わせが多数来た」(竹内さん)のを追い風に、同サイトで支援者を募集。約40日で7万7,377ドルの資金を得たという。

 佐々木さんは「資金は確保できたものの、試作は苦労の連続だった。射出成形のゴミ箱本体は通常、型から簡単に取り出せるよう裾(すそ)を絞り気味にする。『SWING BIN』は全体が同じ直径で、型の組み方・外し方全てが未経験の領域だった。型を外す際にすり傷が付かない構造にするなど金型修正を10回以上重ねた」と振り返る。

 コンセプト発表から5年余り。共に苦労を重ねただけに2人の喜びはひとしおだ。ブランド名には「mature(=円熟した)」「minimum(=最小の)」などの意味を込めた。プラスチック以外の素材にも目を向け「何色にも染まらないブランド」を目指すといい、竹内さんがブランドディレクターとなり今後も新商品の投入を予定する。

 価格は8,424円。同社ホームページで販売する。

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