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福井のスカパンクバンド「SKALAPPER」が10周年

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(写真左から)machakiさん、NONOさん、LEEさん

■「二足のわらじ」で年間70本のライブこなす

 スカパンクは、ジャマイカにルーツがあるとされる「スカ」と、1970年代に欧米を中心にブームとなった「パンク」を掛け合わせた音楽ジャンル。2拍・4拍にアクセントを置くスカのリズムを速いテンポで演奏し、時に過激な歌詞を込めることを特徴とする。

 同グループは福井市在住のLEEさん(ベース・ボーカル)の呼び掛けで2005年4月に結成。LEEさんが自主制作したCDを福井大軽音楽部へ大量に持ち込み、「CDのような曲に興味があったら連絡を」と募集を掛けたのがきっかけという。呼び掛けに反応したのがNONOさん(ギター・ボーカル)で、国内外のスカパンクバンドに影響を受けた音楽好きが少しずつLEEさんの元に集まり始めた。

 メンバーは現在、LEEさん、NONOさん、YAMAMOさん(ドラムス)、Keiさん(サクソホン)、DAIさん(トランペット)、machakiさん(トロンボーン)の6人。全員が本職を持っているため年間約70本のライブは週末が中心で、土曜から日曜にかけ数百キロを車で移動することも多い。machakiさんによると、「メンバー2人は現在、転勤や就職で富山住まい。遠征から福井に戻り、さらに富山に帰って翌朝出勤の生活を続けている」という。

 ファンの年齢層は高校生や大学生、20代前半がメーン。「冬でもTシャツと短パンで汗をかき飛び跳ねながら楽しんでくれる」(LEEさん)ことから、曲作りではライブでの盛り上がりを意識するという。「軽快なスピード感や、観客と一緒に歌える仕掛けなどを計算している」。スピード感だけを追わない緩急自在な楽曲構成も同グループのサウンドの持ち味だ。

■野音イベントにも出演 「地方での活動はハンディにならない」

 3年ぶりのアルバムタイトルには「BOUNCE=跳ねる」の意味通り、跳ねるように踊って楽しんでほしいとの思いを込めた。全14曲をLEEさんが作詞・作曲し、社会問題や生活の一コマなど硬軟織り交ぜた。「初期のころは内省的な曲が多かったが、今作では外向きのメッセージを発するような内容になった。リスナーが増えたことが影響していると思う」

同アルバム収録曲「Bouncing SKA」のMV。レンタルスペース「FLAT」(福井市順化2)で撮影を行った

 レコ発ツアーでは、スカをテーマにしたライブイベント「SKAViLLE JAPAN '14」への出演もあり、日比谷野外音楽堂(東京都千代田区)の大舞台に立った。NONOさんは「野音に出たことでSKALAPPERを知ってくれた人も多く、物販での売れ行きでも手応えを感じた」としたうえで、「ライブDVDに収録されるバンドの一つに選ばれたことも自信につながった」と振り返る。

 しかしここまでの道のりは平坦でなく、存続の危機を何度も迎えたという。日常生活そのものが「ツアー中心」にならざるを得ずメンバー脱退も相次いだが、LEEさんは「『バンド辞めたら俺、たぶん死ぬわ』と思った」と解散の道を選ぶことはなかった。CD購入などで活動を支えるリスナーや、自作曲に「いいね!」と反応してくれるメンバーの存在が励みになったからという。

 地方での音楽活動にハンディを感じたことはほとんどないと3人は口をそろえる。「都会にはすごいバンドが多すぎて、ちょっと変わったことをやったくらいでは目立てない。地方だとメジャーバンドと対バンさせてもらえる機会も多く、それをきっかけにリスナーも広がる。強いて言えば、近くに大手CDショップがないことくらい」と笑顔を見せる。

 同イベントは、20年のキャリアを持つスカパンクバンド「KEMURI」とのツーマンライブ。過去にも同じステージに立った経験はあったが、今回初めて出演順が後になる予定という。「大先輩」と一目置くグループとの共演を控え、「高校生のころの自分に『12年後、KEMURIとツーマンライブやってるぜ』と言ってあげたい」(NONOさん)、「憧れのバンドとの共演をとにかく純粋に楽しみたい」(machakiさん)、「活動10年の集大成として、KEMURIを倒すような勢いで臨みたい」(LEEさん)と意気込みを見せる。

 18時30分開演。料金は、前売り=2,500円、当日=3,000円(いずれもドリンク代別)。

SKALAPPER

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